動画講座は、「企画」「構成」「台本」「撮影」「編集」「公開」の6段階に分けると、初めてでも順番に進められます。最初の1本は、全体を短くして、30分から1時間の長さに収めると完成させやすくなります。
撮影や編集の技術より、前半の企画と構成のほうが、講座の出来を左右します。ここでは、各段階でやることを順番に説明します。
企画:誰に何を持ち帰ってもらうかを決める
最初に、講座を見終わった人が「何をできるようになっているか」を一文で決めます。「表計算ソフトで簡単な家計簿を作れるようになる」のように、具体的な動作で書きます。
この一文がぼんやりしていると、動画の途中で話が広がり、見る人が迷子になります。決めたら、紙に書いて作業中ずっと見える所に置いておきます。
あわせて、対象となる人の状況も決めます。パソコンの操作に慣れていない人向けなのか、基本は分かっている人向けなのかで、説明の細かさがまったく変わるからです。
構成:全体を5〜8つの小さな単元に分ける
ゴールが決まったら、そこに至る道筋を小さな単元に分けます。1つの単元は、5分から10分程度が目安です。見る側は、短い動画のほうが途中でやめにくく、見返しやすくなります。
単元の順番は、「やさしいことから難しいことへ」「全体から細部へ」を基本にします。最初の単元で全体像を見せ、最後の単元で、学んだことを使う実践を入れると、納得感が生まれます。
構成表は、次のような簡単な形で十分です。
- 全体の流れと完成イメージ
- 準備するもの
- 基本の操作
- 実際に作ってみる
- よくある失敗と直し方
台本:話す内容を先に文章にする
台本は、一字一句を読み上げる原稿である必要はありません。各単元で伝えたいことを、箇条書きにしたメモでも使えます。ただ、話すのに慣れていない人は、文章に書き起こしておくほうが、言い間違いや沈黙が減ります。
台本を書くときのコツは、1文を短くすることです。声に出して読むと、長い文は息が続かず、聞く側にも伝わりにくくなります。専門用語は、初めて出すときに一言で説明を添えます。
台本ができたら、声に出して一度読んでみます。時間を計ると、単元の長さの目安がつかめます。
撮影:最初は完璧を目指さない
撮影は、最低限の機材で始められます。スマホの録画と、静かな部屋があれば、最初の1本は作れます。画面操作を見せる講座なら、パソコンの画面収録機能を使う方法もあります。撮影の具体的なコツは、別の記事で詳しく扱っています。
撮影中にやり直したくなったら、その場で話を言い直し、編集でつなげます。毎回最初から録り直すと疲れてしまうので、「間違えたら少し間を置いて、もう一度言い直す」と決めておきます。
音声は、画質より大切です。映像が多少粗くても、声が聞き取りやすければ見てもらえますが、声が聞こえにくい動画は、すぐに閉じられます。
編集と公開:削るのが基本
編集では、足すより削る作業が中心です。言い間違い、長い沈黙、本筋と関係のない話を切り取ります。それだけで、見やすさが大きく変わります。
字幕や図を入れると、理解しやすくなります。ただし、凝りすぎると時間がかかります。最初は、重要な用語に文字を出す程度で十分です。
公開は、動画の配信ができる販売サービスや、会員向けの動画サイトなど、目的に合った場所を選びます。手数料や機能は各サービスで違い、変わることもあるため、執筆時点の情報に頼らず公式の案内で確認してください。
公開前に、自分で最初から最後まで通して見ます。誤字、音のズレ、見落とした間違いを、そこで見つけます。
制作にかかる時間の見積もり
初めて動画講座を作る人がよく驚くのが、完成までにかかる時間です。10分の動画1本でも、企画、台本、撮影、編集を合わせると、数時間かかることがあります。慣れないうちは、動画の長さの何倍もの時間を見込んでおくと安心です。
全体の計画を立てるときは、「1週間に何本作るか」を現実的に決めます。会社員が平日の夜に少しずつ進めるなら、週に1〜2本が目安です。無理な計画は、途中で挫折する原因になります。
遅れが出たときは、動画の本数を減らすか、編集の凝り具合を下げて調整します。公開日を延ばすのは構いませんが、「何となく延びる」状態は避けて、新しい日付を決め直します。
最初の1本を完成させるための考え方
初めて作る講座で最も多い失敗は、完成しないことです。細かい所が気になって何度も撮り直し、結局公開できないまま止まってしまいます。
これを防ぐには、「完成の基準」を先に決めます。たとえば「音が聞き取れる」「手順に間違いがない」「最後まで通して見られる」の3つが満たされたら公開する、と決めます。それ以上の改善は、公開後に買った人の反応を見てから行います。
最初の1本は、練習を兼ねた商品です。2本目、3本目と作るうちに、撮影も編集も速くなります。最初から理想の出来を求めず、まず世に出すことを優先してください。
買った人が見やすい工夫
動画ができたら、見る側の立場で見直します。各動画の冒頭に「この動画で分かること」を一言入れると、見る人が安心します。最後に「次の動画では何をするか」を伝えると、続けて見てもらいやすくなります。
動画の題名は、内容が想像できる名前にします。「第3回」だけでなく「第3回 計算式の入れ方」のように書くと、見返したいときに探しやすくなります。また、動画と一緒に要点をまとめたPDFを付けると、復習に役立つと感じる人が多くいます。
公開後は、見てくれた人からの質問や感想を集めます。分かりにくかった所は、補足の動画や資料で補えます。動画そのものを作り直すより、補足を足すほうが手間が少なく、すでに買った人にも早く届けられます。
作業の記録も残しておくと、2本目からの制作が楽になります。企画に何時間、撮影に何時間かかったかをメモしておけば、次の計画が立てやすくなります。
なお、動画に使う画像や音楽、フォントなどの素材は、商用利用が許されているものだけを使います。権利の確認は、公開前の大切な作業です。
次にやること
今日は、講座の「見終わった人ができるようになること」を一文で書いてください。そのあと、5つの単元の題名だけを並べます。ここまで30分あれば終わります。
次の日に、最初の単元の台本を書き、スマホで3分だけ撮ってみましょう。出来が気に入らなくても構いません。撮った動画を自分で見ることで、声の大きさ、話す速さ、画面の見やすさなど、直すべき点が具体的に分かります。小さく作って、直しながら進める方法が、結局いちばん早く完成します。




